就労支援の現場では、利用者さん同士の人間関係についての相談を受けることもあります。今日は、そんな人間らしい感情についてのお話です。
「話したいのに話せない」もどかしさ
ある利用者さんから、こんな相談がありました。「○○さんと話したいんですけど、△△さんの方が○○さんと仲良く話しているんです…」。
その方の表情を見ていると、もどかしさと少しの嫉妬心が混じっているのが分かりました。
「あの人と話したいのに、他の人の方が仲良くしている」。この気持ち、とてもよく分かります。嫉妬心がめらめらと燃え上がって、でもどうしたらいいかわからない。そんな経験、誰にでもあるのではないでしょうか。
その方は、○○さんと△△さんが楽しそうに話している様子を、少し離れたところから眺めていることが多いようでした。「いいなあ、私もあんな風に話せたらなあ」。そんな気持ちで見ているうちに、だんだん心がざわざわしてきてしまうのも無理はありません。
でも、待っているだけでは始まらない
お話を聞いていて思ったのは、「待っているだけでは、きっと何も変わらない」ということでした。○○さんは、もしかしたら相談者さんとも話したいと思っているかもしれません。でも、きっかけがないだけかもしれません。
そこで、こんな風に提案してみました。「自分から話しかけてみたらどうでしょう?」。最初は「え、でも…」と戸惑っていた相談者さんでしたが、少しずつ表情が変わってきました。
「今度、○○さんが一人でいる時に、『おはようございます』から始めてみませんか?」「作業で困っていそうな時に、『大丈夫ですか?』って声をかけてみるのはどうでしょう?」。そんな小さな一歩から提案してみました。
嫉妬心を行動力に変える
嫉妬心って、ネガティブに捉えられがちですが、見方を変えれば「その人ともっと仲良くなりたい」という気持ちの表れでもあります。その気持ちを、行動を起こすエネルギーに変えられたらいいですよね。
△△さんが○○さんと仲良くしているからといって、相談者さんが○○さんと友達になれないわけではありません。友情に「早い者勝ち」はないんです。一人の人が、複数の人と良い関係を築くことは、ごく自然なことです。
「でも、嫌われたらどうしよう…」。そんな不安もあると思います。でも、優しい気持ちで話しかけて、嫌がる人はきっと少ないはずです。むしろ、「声をかけてもらえて嬉しい」と思ってくれるかもしれません。
相談の翌日、その方が○○さんに「おはようございます」と声をかけている姿を見かけました。○○さんも笑顔で「おはようございます」と返してくれていて、見ている私もほっこりしました。
人とのつながりは自分から作るもの
人とのつながりは、待っているだけでは生まれません。小さな勇気を出して、自分から一歩踏み出すことで、新しい関係が始まることもあります。
嫉妬心を感じることは、決して悪いことではありません。それは、「その人ともっと仲良くなりたい」という素直な気持ちの表れです。大切なのは、その気持ちを前向きな行動に変えること。きっと、新しいつながりが生まれるはずです。
人間関係の悩みは尽きませんが、小さな勇気で新しいつながりが生まれる瞬間を見られることが、この仕事の喜びの一つです。


