就労継続支援A型を検討する時、一番気になるのは「実際にいくらもらえるのか」「それで生活できるのか」ということではないでしょうか。
今日は、A型の給料について、全国平均から地域差、そして実際の生活への影響まで、詳しくお話しします。
A型の給料の基本的な仕組み
最低賃金が保障される
就労継続支援A型では、雇用契約を結ぶため、必ず最低賃金以上の給料が支払われます。
これは法律で決まっていることなので、どの事業所でも守られています。
現在の全国平均最低賃金は時給1,055円です。2025年10月からは時給1,121円(現在の1,055円から66円引き上げ)となる見通しです。
実際の給料の計算方法
基本的な計算式
時給 × 労働時間 × 労働日数 = 月給
例:時給1,000円、1日4時間、月20日働いた場合
1,000円 × 4時間 × 20日 = 80,000円
ここから社会保険料などが引かれるので、手取りは約7万円前後になります。
全国平均の給料額
2024年の最新データ
厚生労働省の調査によると、A型事業所利用者の平均月額工賃は83,551円(2024年実績)でした。
時間給に換算すると
- 平均時給:約900円~1,100円
 - 1日の平均労働時間:4~6時間
 - 月の平均労働日数:20~22日
 
過去5年間の推移
| 年度 | 平均月額工賃 | 前年比 | 
|---|---|---|
| 2020年 | 79,625円 | – | 
| 2021年 | 81,645円 | +2,020円 | 
| 2022年 | 81,207円 | -438円 | 
| 2023年 | 82,847円 | +1,640円 | 
| 2024年 | 83,551円 | +704円 | 
徐々に上昇傾向にありますが、最低賃金の上昇に合わせた部分が大きいです。
地域による給料の差
都市部と地方の違い
都市部(東京、大阪、愛知など)
- 月額平均:9万円~12万円
 - 時給:1,100円~1,400円
 - 最低賃金が高いため、A型の給料も高め
 
地方(東北、九州、四国など)
- 月額平均:6万8,000円~8万5,000円
 - 時給:900円~1,050円
 - 最低賃金が低めのため、A型の給料も相対的に低め
 
具体的な地域別例
東京都内のA型事業所
- 時給1,200円、1日5時間、月22日勤務
 - 月額:132,000円(手取り約11万円)
 
地方のA型事業所
- 時給950円、1日4時間、月20日勤務
 - 月額:76,000円(手取り約6.5万円)
 
実際の手取り額は?
控除される項目
A型では雇用契約を結ぶため、以下が給料から控除されます:
社会保険料(約10~15%)
- 健康保険料
 - 厚生年金保険料
 - 雇用保険料
 
その他の控除
- 所得税(給料が低い場合は非課税のことが多い)
 - 昼食代(事業所により異なる)
 - 交通費(支給される場合もある)
 
手取り額の目安
月額8万円の場合
- 社会保険料:約8,000円~12,000円
 - 手取り:約6万8,000円~7万2,000円
 
月額10万円の場合
- 社会保険料:約10,000円~15,000円
 - 手取り:約8万5,000円~9万円
 
実際の生活はできるのか?
一人暮らしの場合
収入:手取り7万円
- 家賃:3万円(公営住宅など)
 - 食費:2万円
 - 光熱費:1万円
 - 通信費:5,000円
 - その他:5,000円
 - 合計:6万5,000円
 
ギリギリの生活になりますが、以下の条件があれば可能です:
- 公営住宅や家賃の安い住宅に住める
 - 障害基礎年金を受給している(月6~8万円)
 - 家族からの支援がある
 
実家暮らしの場合
収入:手取り7万円
- 家への生活費:2~3万円
 - 食費(昼食代など):1万円
 - 交通費:5,000円
 - 小遣い:3~3.5万円
 
実家暮らしであれば、比較的ゆとりのある生活ができます。
A型事業所による給料の違い
高い給料を出せる事業所の特徴
生産性の高い作業を行っている
- IT関連業務(データ入力、プログラミング)
 - 製造業の委託作業
 - サービス業(清掃、接客)
 
経営が安定している
- 長期間運営している実績
 - 安定した受注先を持っている
 - 適切な利用者数を維持している
 
給料が低めの事業所の特徴
単価の低い作業が中心
- 単純な軽作業
 - 内職的な作業
 - 付加価値の低い作業
 
経営が不安定
- 開設から間もない
 - 受注が不安定
 - 利用者数が定員を大きく下回っている
 
より高い給料を得るためのポイント
事業所選びのコツ
事前に確認すべき項目
- 実際の平均給料額(求人票だけでなく実績を聞く)
 - 労働時間と労働日数
 - 昇給制度の有無
 - 賞与の支給実績
 
見学時のチェックポイント
- 利用者が集中して作業しているか
 - 作業内容に付加価値があるか
 - 施設の設備が充実しているか
 
スキルアップで給料アップ
資格取得の支援
- パソコン検定
 - 簿記検定
 - その他業務に関連する資格
 
作業効率の向上
- 作業スピードを上げる
 - 品質を向上させる
 - リーダー的な役割を担う
 
多くのA型事業所では、能力に応じて時給を上げる制度があります。
将来的な収入アップの可能性
一般就労への移行
A型で経験を積んだ後、一般企業への就職を目指すことで、大幅な収入アップが可能です。
一般就労での給料例
- 事務職:月15万円~20万円
 - 軽作業:月14万円~18万円
 - 専門職:月18万円~25万円
 
A型内での昇進
長期間働くことで、以下のような役割を担えるようになります:
- 作業リーダー
 - 新人指導係
 - 事務補助
 
これらの役割により、時給が100円~300円程度アップする場合があります。
A型の給料に関するよくある質問
Q: 残業代はもらえますか?
A: A型は雇用契約なので、残業をした場合は残業代が支払われます。ただし、多くの事業所では残業自体が少ないのが現状です。
Q: 賞与はありますか?
A: 事業所により異なります。年2回、月給の0.5ヶ月分程度を支給するところもありますが、賞与のない事業所の方が多いです。
Q: 有給休暇は取れますか?
A: 雇用契約により、労働基準法に基づいた有給休暇が付与されます。6ヶ月継続勤務で10日間の有給が取得できます。
Q: 交通費は支給されますか?
A: 事業所により異なります。全額支給、月額上限1万円まで支給、支給なしなど、事業所によって対応が分かれています。
まとめ
就労継続支援A型の給料について、重要なポイントをまとめます:
全国平均
- 月額約8万3,551円(2024年実績)
 - 手取りは約7万円前後
 
生活について
- A型の給料だけでは一人暮らしは厳しい
 - 障害基礎年金との組み合わせで生活は安定
 - 実家暮らしなら比較的ゆとりがある
 
事業所選びが重要
- 給料に大きな差がある(月6万円~12万円)
 - 事前の情報収集と見学が必須
 - 将来性も含めて検討する
 
A型は就労への第一歩 A型での経験を活かして一般就労を目指すことで、さらなる収入アップも可能です。
給料だけでなく、スキルアップや将来の可能性も含めて、総合的に判断することが大切ですね。
※注意事項 この記事の内容には誤りがある可能性があります。実際のサービス利用を検討される際は、お住まいの市役所・区役所の障害福祉担当課や各事業所で、最新の正確な情報をご確認ください。
まだまだ勉強中の身ですが、働くことを考えている方にとって役立つ情報をお伝えできるよう、現場での経験も活かしながら発信していきたいと思います。

  
  
  
  
