『一般就職』と『障がい者雇用』どちらを選ぶ? ― 私だったらという視点で

就労支援について

先日、こんな相談を受けました。

「一般就職と障がい者雇用、どちらがいいと思いますか?」

正直に言います。どちらがいいか、私には分かりません。

障がい者雇用についての知識も、まだまだ勉強中です。

でも、「あなただったらどうしますか?」と聞かれたので、「私だったら」という前提で、正直な気持ちをお話ししました。

今日は、その時の会話を元に、私なりの考えをお伝えしたいと思います。

前提:私は専門家ではありません

まず最初にお伝えしておきたいことがあります。

私は社労士の資格もまだ持っていませんし、障がい者雇用の専門家でもありません。

これからお話しすることは、あくまで「私個人の考え」であり、「私だったらこうする」という一つの意見です。

正解ではありませんし、誰にでも当てはまるわけでもありません。

そのことを前提に、読んでいただけたら嬉しいです。

私だったら、障がい者雇用を選ぶと思う

相談を受けた時、私はこう答えました。

「私だったら、障がい者雇用を選ぶと思います」

なぜそう思うのか。理由はいくつかあります。

理由1:面接が苦手だから

私は面接や集団面接のようなものが、とても苦手です。

就職活動の話ではないのですが、若い頃にオーディションを受けずに帰ったことがあります。

会場に着いて、待合室で待っているうちに、どんどん緊張してきて…

結局、自分の番が来る前に逃げ出してしまいました。

本番に弱いタイプ

私は、本番にめっぽう弱いタイプなんです。

人前で自分の意見を言うような面接も、できれば避けたい。

一般就職の面接では、

  • 志望動機を明確に伝える
  • 自己PRをしっかりする
  • 他の応募者と競争する
  • 短い時間で自分を売り込む

こういったことが求められます。

私には、これがとてもハードルが高く感じるんです。

障がい者雇用なら

もちろん、障がい者雇用でも面接はあります。

でも、相談できる支援者がいて、一緒に準備できる。

就労移行支援などを利用していれば、何度も面接練習ができるし、場合によっては支援者が同行してくれることもある。

それだけでも、私にとっては大きな安心材料になります。

理由2:仕事上の配慮がある

障がい者雇用なら、仕事の内容について配慮してもらえる可能性があります。

苦手な業務を避けられる

例えば、私は営業のように、初対面の人と積極的にコミュニケーションを取るような仕事が苦手です。

障がい者雇用なら、こうした苦手な業務を避けてもらえるよう、事前に相談できます。

「電話対応は難しいです」 「接客は避けたいです」 「一人で集中できる作業が向いています」

こうした希望を、採用前に伝えられる。

これは、とても大きなメリットだと思います。

途中で休める可能性

仕事の途中、しんどくなった時に休ませてもらえる。

これも、障がい者雇用の大きな利点だと思います。

精神疾患があると、体調に波があることも多いですよね。

「今日は調子が悪い」 「急に不安になってきた」 「集中力が続かない」

そんな時に、「少し休ませてください」と言える環境。

これがあるかないかは、働き続けられるかどうかに大きく影響すると思います。

理由3:会社が大きい可能性

障がい者雇用枠を設けている会社は、比較的大きい企業が多いです。

医務室がある場合も

大きい会社だと、医務室や保健室のような場所がある場合もあります。

体調が悪くなった時、少し横になれる場所がある。

看護師さんや保健師さんに相談できる。

こうした環境があるというのは、安心感につながります。

給料や福利厚生

大きい会社の方が、給料や福利厚生の条件がいい可能性があります。

  • 安定した給与
  • ボーナスの支給
  • 有給休暇の取りやすさ
  • 社会保険の充実
  • 通勤手当や住宅手当

もちろん、すべての大企業がそうとは限りませんが、一般的には条件が整っている場合が多いです。

一般就職のメリットも理解している

ただ、一般就職にもメリットはあると思います。

一般就職のメリット

  • 職種の選択肢が広い
  • キャリアアップの可能性
  • 給与水準が高い場合もある
  • 障がいを開示せずに働ける

特に「障がいを開示したくない」という方にとっては、一般就職の方が良い場合もあるでしょう。

結局、何が正解なのか

正解はないと思います。

一人ひとり、状況も違えば、価値観も違います。

何を大切にするか

  • 安定を取るか、チャレンジを取るか
  • 配慮を優先するか、一般と同じ環境を選ぶか
  • 働きやすさを取るか、キャリアを取るか

これは、本当に人それぞれです。

私が相談者さんに伝えたこと

相談を受けた時、私はこんな風に伝えました。

「私だったら障がい者雇用を選ぶと思います。でも、それは私の価値観であって、あなたにとっての正解ではないかもしれません」

「大切なのは、あなた自身が何を優先したいか、どんな働き方がしたいかです」

「一度決めたら変えられないわけじゃありません。まずは一つ選んで、やってみて、合わなかったら変えればいい」

両方を経験してから決めることもできる

実は、一般就職と障がい者雇用、両方を経験してから決めることもできます。

まず一般就職でチャレンジ

一般就職にチャレンジして、もし難しかったら、障がい者雇用に切り替える。

これも一つの方法です。

就労移行支援で準備

就労移行支援を利用して、じっくり準備してから障がい者雇用で就職。

慣れてきたら、一般就職にステップアップする。

こういう道もあります。

大切なのは「自分で選ぶ」こと

どちらが良いかは、結局のところ、あなたにしか分かりません。

私にできるのは、

  • 私の考えを伝えること
  • 選択肢があることを知ってもらうこと
  • どちらを選んでも応援すること

それだけです。

専門家に相談することも大切

私のような勉強中の支援者の意見だけでなく、専門家にも相談してみてください。

相談先

  • ハローワークの専門援助部門
  • 障害者就業・生活支援センター
  • 就労移行支援事業所
  • 相談支援専門員
  • キャリアカウンセラー

専門的な知識を持った方々が、より詳しいアドバイスをしてくれるはずです。

最後に

相談を受けて改めて思ったのは、「働く」ということには、本当にいろいろな形があるんだなということです。

一般就職も、障がい者雇用も、就労継続支援も、在宅ワークも。

どれが正解ということはなく、自分に合った形を見つけることが大切。

そして、一度選んだからといって、それで終わりではない。

やってみて、合わなかったら、また考え直せばいい。

私自身、まだまだ勉強中で、障がい者雇用についても知らないことだらけです。

でも、利用者さんと一緒に考えながら、少しずつ理解を深めていきたいと思います。

あなたが、自分に合った働き方を見つけられますように。


※注意事項 この記事は、就労支援の現場で働く一個人の意見であり、専門家としての見解ではありません。実際の就職活動や進路選択については、ハローワークや就労支援の専門機関などで、正確な情報を確認してください。


まだまだ勉強中の私ですが、利用者さんと一緒に悩み、一緒に考えることを大切にしていきたいと思います。

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