就労移行支援とは?一般就労を目指すための制度

就労支援について

障がいのある方が一般企業で働くことを目指すための制度、それが「就労移行支援」です。

就労継続支援A型・B型との大きな違いは、「一般就労への移行」が明確な目標であることです。今日は、この制度について詳しくお話しします。

就労移行支援とは

就労移行支援は、一般企業で働くことを目指す障がいのある方が、必要なスキルや知識を身につけるための訓練を受ける制度です。

期間は原則2年間(特別な事情がある場合は1年延長可能)で、この間に就職に必要な準備を整えて、実際に企業への就職を目指します。

どんなことをするの?

基本的な訓練内容

職業準備性の向上

  • 基本的な生活リズムの確立
  • 体力・集中力の向上
  • コミュニケーション能力の向上
  • ビジネスマナーの習得

職業スキルの習得

  • パソコン操作(Word、Excel、PowerPointなど)
  • データ入力・事務作業
  • 軽作業(梱包、組み立てなど)
  • 清掃・接客などのサービス業務
  • 専門的なスキル(プログラミング、デザインなど)

就職活動のサポート

  • 履歴書・職務経歴書の書き方
  • 面接練習
  • 企業見学・実習の手配
  • ハローワークでの求職活動同行

実際の1日の流れ

午前9時~12時:訓練・作業

  • 各自の目標に応じた作業やスキル訓練
  • グループワークやコミュニケーション訓練

午後1時~3時:訓練・面談

  • 継続的な訓練
  • 個別面談やカウンセリング
  • 就職活動(求職活動、面接など)

午後3時~4時:振り返り・清掃

  • その日の振り返り
  • 施設の清掃
  • 明日の予定確認

利用できる人の条件

基本的な条件

  • 18歳以上65歳未満の方
  • 身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病のある方
  • 一般企業で働くことを希望している
  • 2年間(最大3年間)継続して通所できる

障害者手帳について

障害者手帳を持っていなくても、医師の診断書や意見書があれば利用可能です。うつ病や統合失調症、発達障害など、手帳を取得していない方でも相談してみてください。

就労継続支援A型・B型との違い

就労移行支援の特徴

項目就労移行支援A型(雇用型)B型(非雇用型)
目的一般就労への移行雇用契約での継続就労社会参加・生活支援
期間原則2年間制限なし制限なし
収入なし(交通費支給あり)最低賃金保障工賃(平均月1.7万円)
雇用契約なしありなし
訓練内容就職準備中心実際の仕事軽作業中心

どちらを選ぶべき?

就労移行支援を選ぶべき方

  • 将来的に一般企業で働きたい明確な希望がある
  • 2年間収入なしでも生活できる環境がある
  • 就職に向けた具体的なスキルアップをしたい

A型・B型を選ぶべき方

  • 今すぐに収入が必要
  • 一般就労に自信がない
  • ゆっくりと自分のペースで働きたい

利用料金について

9割以上の方が無料で利用できます。

所得に応じて自己負担額が決まりますが:

  • 市町村民税非課税世帯:無料
  • 市町村民税課税世帯:月額上限9,300円

その他、交通費や昼食代は自己負担となります。

実際の就職実績

全国平均の就職率

就労移行支援を利用した方の**就職率は約50%**です。

これは決して低い数字ではありません。一般的なハローワークでの障がい者の就職率よりも高く、専門的な支援により確実にスキルアップしてから就職活動を行うことの効果が表れています。

就職先の例

事務職

  • データ入力・書類整理
  • 受付・電話応対
  • 経理補助

軽作業

  • 商品の梱包・仕分け
  • 清掃業務
  • 食品加工

専門職

  • プログラマー・Webデザイナー
  • 介護・福祉職員
  • 販売・接客

定着率について

就職後6ヶ月時点での**職場定着率は約70%**です。

これは就労移行支援での訓練により、自分に合った職場を見つけられること、就職後もフォローアップ支援があることが大きく影響しています。

就労移行支援の流れ

1. 相談・見学(1~2週間)

まずは市町村の障害福祉窓口や相談支援事業所に相談します。複数の事業所を見学し、自分に合いそうな場所を選びましょう。

2. 体験利用(1~2週間)

実際に数日間体験利用をして、事業所の雰囲気や訓練内容を確認します。

3. 利用開始・アセスメント(1ヶ月)

正式に利用を開始し、現在のスキルレベルや課題を詳しく評価します。

4. 個別支援計画の作成

アセスメント結果を基に、一人ひとりに合わせた2年間の支援計画を作成します。

5. 訓練期間(6ヶ月~1年6ヶ月)

計画に沿って、必要なスキルや知識を身につけるための訓練を行います。

6. 就職活動(3~6ヶ月)

履歴書作成、面接練習、企業実習などを通じて実際の就職活動を行います。

7. 就職・定着支援(6ヶ月)

就職後も6ヶ月間、職場での困りごとについて相談やサポートを受けられます。

よくある質問

Q: 障害者手帳がないと利用できませんか?

A: 手帳がなくても利用可能です。医師の診断書や自立支援医療の受給者証があれば利用できる場合があります。まずは市町村の窓口に相談してください。

Q: 2年間で就職できなかったらどうなりますか?

A: 1年間の延長が可能です。それでも就職が困難な場合は、就労継続支援A型・B型への移行を検討することもできます。

Q: 週何日くらい通所する必要がありますか?

A: 基本的には週4~5日の通所が推奨されています。ただし、体調や状況に応じて調整可能な事業所も多くあります。

Q: どんな服装で通所すればいいですか?

A: 事業所により異なりますが、多くの場合は「ビジネスカジュアル」が基本です。就職を意識した服装に慣れることも訓練の一部となります。

事業所選びのポイント

確認すべき項目

就職実績

  • 過去3年間の就職率
  • 就職先の職種や企業名
  • 定着率(6ヶ月後、1年後)

訓練内容

  • 自分の希望する職種に関連した訓練があるか
  • パソコンスキルなど基本的なスキル訓練の充実度
  • 実際の企業での実習機会の有無

サポート体制

  • 専門スタッフの資格や経験
  • 個別面談の頻度
  • 就職後のフォローアップ内容

事業所の雰囲気

  • スタッフと利用者の関係性
  • 利用者同士の雰囲気
  • 清潔で働きやすい環境かどうか

まとめ

就労移行支援は、一般企業で働くという目標を実現するための、とても有効な制度です。

2年間という期間は長く感じるかもしれませんが、この期間で確実にスキルを身につけ、自信を持って就職活動に臨むことができます。

大切なのは「働きたい」という気持ちと、2年間頑張り続ける意欲です。

もし一般企業での就職を考えているなら、ぜひ一度見学や相談をしてみてください。きっと、新しい可能性が見えてくるはずです。


※注意事項 この記事の内容には誤りがある可能性があります。実際のサービス利用を検討される際は、お住まいの市役所・区役所の障害福祉担当課や相談支援事業所などで、最新の正確な情報をご確認ください。


まだまだ勉強中の身ですが、障がいのある方の就労支援に関する情報を、できるだけ分かりやすくお伝えしていきたいと思います。