初めて企業見学に同行した日のこと

就労支援について

先日、利用者さんの企業見学に同行させていただく機会がありました。

就労支援の仕事を始めてから、まだ初心者の私にとって、実際の企業がどのように障がい者雇用に取り組んでいるのかを見るのは初めての体験でした。今日は、その時に感じたことをお話しさせてください。

その日の朝

見学に向かう利用者のAさんは、普段よりも緊張している様子でした。「大丈夫でしょうか…」「ちゃんと話せるかな…」。何度も同じことを繰り返し聞かれて、私も一緒にドキドキしていました。

「大丈夫ですよ。見学するだけですから、気楽に行きましょう」。そう言いながら、実は私自身も緊張していたのです。

訪問したのは、地域の中小企業でした。受付で名前を告げると、人事担当の方が笑顔で迎えてくださいました。「お疲れ様です。今日はお忙しい中、ありがとうございます」。その自然な対応に、まず私が安心しました。

実際の職場を見て

案内された職場では、既に障がいのある方が数名働いていらっしゃいました。

車椅子の方が使いやすいよう、机の高さが調整されていること。聴覚障がいの方とのやり取りに、筆談ボードが自然に使われていること。集中しやすいよう、パーテーションで区切られた作業スペースがあること。

「特別なことはしていないんです。ちょっとした工夫で、みんなが働きやすくなるんですよ」。担当者の方のその言葉が、とても印象に残りました。

見学が進むにつれて、Aさんの表情が少しずつ変わっていきました。最初はこわばっていた顔が、だんだん和らいでいく。実際に働いている障がいのある先輩社員の方と話をした時には、「この仕事、面白そうですね」と、自然に笑顔が出ていました。

企業側の配慮に驚いた

見学の中で、企業側の細やかな配慮に何度も驚かされました。

薬を服用する時間に合わせて、個別に休憩を取れるようにしている。口頭だけでなく、必要に応じて紙に書いて渡す。一律ではなく、その人の特性に合わせた評価基準を設けている。

「最初は手探りでした。でも、本人と話し合いながら、少しずつ改善してきたんです」。

見学の最後に、Aさんが質問する時間がありました。「体調が悪い日は、どうすればいいですか?」「分からないことがあった時は、誰に聞けばいいですか?」「通院で遅刻や早退が必要な時は…」。

一つ一つの質問に、担当者の方は丁寧に答えてくださいました。その姿を見ていて、Aさんが本気で「ここで働きたい」と考えていることが伝わってきました。

帰り道で

企業を後にした帰り道、Aさんが言いました。「思っていたより、普通でした」「みなさん、優しそうでした」「私にもできそうな気がします」。

この「普通でした」という言葉が、とても嬉しく感じました。特別扱いではなく、でもちゃんと配慮されている。それが「普通」だと感じてもらえたのかもしれません。

私が学んだこと

この見学を通じて、私は多くのことを学びました。

企業も手探りで頑張っている。完璧なノウハウがあるわけではなく、一つずつ試行錯誤しながら環境を整えている。障がいへの配慮が、特別なことではなく当たり前のこととして行われている。そして、どんなに環境が整っていても、本人が「ここで働きたい」と思えなければ意味がない。

見学に同行して、改めて感じたのは、支援者の役割の大切さでした。利用者さんと企業の間に立って、お互いの不安を和らげ、スムーズなやり取りができるようサポートする。まだまだ経験不足の私ですが、こうした場面でしっかりとした支援ができるようになりたいと思いました。

その後のAさん

見学から1週間後、Aさんから嬉しい報告がありました。「あの会社で、1週間の職場実習をさせてもらえることになりました」。

緊張していた見学の日から、大きく前進したAさんを見て、私も本当に嬉しくなりました。

今回の経験を通じて、企業見学がいかに大切かを実感しました。利用者さんにとっては、実際の職場の雰囲気を知ることができ、働くイメージを具体的に持て、不安が軽減される。企業にとっては、どんな配慮が必要かを事前に確認でき、お互いの相性を見極められ、安心して採用を検討できる。

最後に

初めての企業見学同行は、私にとって貴重な学びの機会となりました。

障がい者雇用は、決して特別なことではなく、ちょっとした工夫と理解があれば実現できるものだということ。そして、利用者さんの可能性は、私たちが思っている以上に大きいということ。

これからも、一人ひとりの「働きたい」という気持ちを大切にして、支援していきたいと思います。Aさんの職場実習が、うまくいきますように。


まだまだ経験の浅い私ですが、現場で感じたことを大切にしながら、利用者さんと一緒に成長していきたいと思います。