「暗い職場」と言われて

就労支援について

ボランティアの方の一言

ある日、職場にボランティアで手伝いに来てくれた人がいました。おそらく、誰かの知り合いだと思います。

その方が、利用者さんの前で、こう言いました。「ここの職場、暗いね~」。軽い口調で、何気なく。

その瞬間、「地雷踏まれた!」と思いました。私は、「静かにひっそり営業中です!」と返しましたが、心の中では複雑な気持ちでした。

なぜ静かなのか

確かに、私たちの職場は静かです。利用者さんやスタッフと楽しく会話をしたいときもあります。わいわい話しながら作業できたら、楽しいかもしれません。でも、基本的には必要以上のことを話さないようにしています。

それには、理由があります。話していることをよく思わない利用者さんがいること。音に敏感な利用者さんがいること。自分の悪口を言っていると勘違いしてしまう利用者さんがいること。

スタッフは、利用者さんの様子や空気を読んで、必要に応じて声掛けをしています。賑やかにしないのは、「暗い」からではなく、「配慮」なんです。

理解されにくい現実

でも、まだまだ精神疾患のことを理解するのが難しいのが現実かもしれないですね。見た感じ、どの利用者さんもつらそうには見えません。一生懸命作業をされているので、困難があるようにも見えません。だから、「なぜわいわい話しながら作業をしないんだろう」と思うのも、無理ないのかもしれません。

街や電車で近くにいる人が精神疾患を持っていても、わかりません。外見からは、わからないんです。だから、「普通に見える」「元気そうに見える」。でも、その人の中では、見えない戦いが続いているかもしれない。

例えば、音に敏感な利用者さん。普通の会話の声でも、耳に刺さるように聞こえることがあります。笑い声が、攻撃的に聞こえることもあります。それは、その人が弱いからではなく、そういう特性を持っているからです。

また、自分の悪口を言っていると勘違いしてしまう利用者さん。スタッフ同士が何か話していると、「自分のことを笑っている」と感じてしまう。それも、症状の一つです。だから、必要以上に話さないようにしています。

配慮は見えない

こうした配慮は、外から見ても分かりません。「静かな職場」にしか見えない。「暗い職場」に見えるかもしれない。でも、その静けさの中には、たくさんの配慮があります。

もし、このことを知ってもらえたら、「暗い職場」ではなく、「配慮のある職場」と見てもらえるかもしれません。賑やかじゃないことが、悪いことではないと分かってもらえるかもしれません。

精神疾患は、見た目では分かりません。困難も、外からは見えません。だからこそ、理解を広げたい。「普通に見える」人が、実は大変な思いをしているかもしれないこと。静かな環境が、誰かにとっての「安心」になっていること。

ボランティアの方を責めたいわけじゃない

もちろん、そのボランティアの方を責めたいわけじゃありません。知らなかっただけです。悪気があったわけじゃありません。ただ、こういう場所があること、こういう配慮が必要な人がいることを、知ってほしいと思いました。

「静かな職場」には、意味があります。それは、すべての利用者さんが、少しでも安心して過ごせるように。少しでも楽に作業できるように。そのための、配慮です。

見えない配慮。それは、気づかれないことも多いです。でも、その配慮があるから、安心できる人がいます。その配慮があるから、続けられる人がいます。

最後に

もし、静かな職場、静かなお店、静かな場所を見かけたら、「暗いな」と思う前に、「何か理由があるのかな」と考えてみてください。

そこには、見えない配慮があるかもしれません。そして、その配慮を必要としている誰かがいるかもしれません。

精神疾患は、見えないからこそ、理解されにくい。でも、少しずつ、知ってもらえたら嬉しいです。


※この記事は就労支援の現場で働く支援者の視点から書いています。精神疾患への理解が少しでも広がることを願って。